2022/01/22いい塩梅
住いも10年位過ぎる頃から落ち着きのある風情を醸し出すようになります。
艶が出てきて色味は深くなり、重厚感のある表情がにじみ出るようになります。
最近OB様の家を訪ねて、そのような印象を改めて抱いております。
自然素材が持つ独特の趣を堪能しながら、材木の表情を伺うのでした。するとかすかな
木の香りが辺りに漂い、木の持つエネルギーが下りて来るのを感じ取れるのです。
静かな気持ちで、呼吸はゆっくりとして心地の良い空気が、鼻から入ってきます。
この感覚はなかなか言葉では言い表せないのですが。
最近杉の活用が良く話題になります。もっぱら建材としての活かし方、不足する木材の
補充に目が行っているようです。木の持っている特質や自然材が人に与える良い影響も、
語って欲しいですね。自然の木が経年するにつれて艶が出てきて、色味も深くなり良い
風情を出すのはなぜなのでしょうか。
一言でいうと、「生きているから」ということになります。木の組織が生きていて、細胞
が働いているからに他なりません。樹木の持つ油脂分やエキス分が木材の内部に蓄えられ、
それが艶のある表情として出てきているのです。
しかしこれを聞いた人が、木は伐採されると同時に生命体としての命は無いのでは、
ということを言います。薬師寺建立の棟梁、西岡常一は「木は二度生きる」という名言を
吐いて、木の生命を語っています。
そして木を使うにはもう一つ要諦があります。それは乾燥の仕方には充分に気を付ける。
ということです。それでは続きはまた明日にしたいと思います。