2021/04/02かぶりが要る
かぶりとはコンクリートを打つとき、鉄筋の周りにコンクリートが取り巻く
所を言います。「かぶりが取れていない」とか「かぶりは充分に確保できている」
という言い方をします。
業界で通用する言葉ですが、構造的な意味ではとても重要なことです。
基準法ではかぶりの間隔を、センチメートルの数値で決めています。
町を歩いていると鉄筋コンクリートのビルや住まいで、鉄筋が表面に出てきて
見苦しくしている建築をたまに見ることがありませんか。
もっともそれがどうしてそのようなことに成ったのか、知りようがありませんね。
比較的年月の経った建築で見られる現象ですが、万が一このような状態になれば、
美観を損なったり、何より構造に悪影響がありますので、早めの修復をお願いします。
ではなぜこのようなことが起きるのでしょうか。鉄筋の周りにコンクリートが廻っていない
状態は錆を呼んだり、表面のコンクリートを押し出して、コンクリートが割れたり剥落する
ことになります。その原因を追究して次へ活かさないと、繰り返しこのような事が
起きますね。建築屋はこのような姿を見ると、とても辛く傷ましい気持ちになります。
まるでビルが泣いているかのように見えるのです。
「なぜちゃんとスペーサーを入れない」「さいころは足りていたのか」「結束線が切れたまま
コンクリートを打ったな」とか思うのです。
結果を十分に予測できながら、コンクリートが打たれていますので、現場担当としては
失礼ですが下に値する方です。現場の事ですので、鉄筋の配列が乱れたり、結束線が切れる
事はあります。しかしすぐ手直しや、結束線を持ってきてかぶりを十分に取ろうとします。
建築技術者として当たり前のことなのですが、それが出来ていないことになります。
このような建築は、予期した構造強度を発揮できないことになりかねませんし、
寿命を著しく縮める建築になります。