2021/05/13裏がある
裏と付く名前にあまりいいものの印象はありませんね。
裏口入学、裏取引、裏口座、裏経理等。正規のものに対する言い方でしょうから
後ろめたい気持ちや、不正の臭いがするような気がします。実は建築には裏の
称号がいくつかあって、しかも堂々と使われているものがあります。
裏の言葉をいくつか集めてみました。JIS規格にも表記されているもので
建築の世界では構造屋さん(構造設計をする人)、鉄工所、そして我々建設業で働く
人は知っている方が多いです。それは鋼材のことを言っています。H形鋼に多いのですが、
通常物は整った寸法をしていますが、裏材と言われるものは寸法が2~3ミリ薄く
作られています。
ちなみにH形鋼とは、文字通りHの形をした鉄骨材で主に柱、梁の主要部材として
使われます。そして裏材という呼び方はJISに規定はなく、通称の呼び名になります。
H型鋼の200×100×5.5×8(断面寸法)という寸法に対して、裏材は
198×99×4.5×7というわずかに下回る寸法で作られているのです。
よく鉄骨屋の親父(畏敬の念と親しみを込めて今でも使う)と話すことですが、
「それじゃ裏材を使ったら行けないか」と話すのです。隠語に間違われますがちょっと
ニュアンスは違います。
裏材を使う目的とは何でしょうか。先程の鋼材の寸法を見てわかると思いますが、
肉厚が若干違います。ということは鋼材の重量が減るということです。
鋼材の値段は軽くなった分だけ少なくなるのです。それは建築の資金計画上助かる
ということになります。しかし構造計算の裏付けを行い、安全性に問題はないという
確認は当然必要ですね。このように建築にまつわる言葉は面白いのですが、他には
木材に木表、木裏と呼ばれる言い方があります。