2021/07/25記憶に残る話
ギターを弾く人なら知っていると思いますが、世界一のエレキギター製造
メーカーはフジケンですね。ここの会長さんの横内祐一郎さんは、経営塾
を主宰して多くの人を指導しています。今日はこの話をしたいと思います。
一昔以上前に聞いたものですが、よく話の内容は覚えています。
横内さんはまだ創業間もない頃、アメリカに単身乗り込み、自社のギターを
売り込むことになりました。会社から6か月間の滞在経費を貰い渡ったのですが、
どうしても英語が聞き取れない、話せない状態が続き完全に壁にぶち当たって
しまったのです。会社からは売れるまで帰ってこなくていいからと言われた
そうです。お金は段々底をつき、語学の問題もあり3か月間一本のギターも
売れません。途方に暮れて公園に辿り付くと、西の空に真っ赤な夕焼けの太陽が、
グラグラと沈みかけています。思わず「おっ母助けてくれくれや」と叫んだと
言います。そこへ偶然白髪の老夫妻がやってきて、これまでの事情を話すと
2週間自宅に寝泊まりさせてくれ、英語の特訓をしてくれたそうです。
そのお陰で6か月目には英語がはっきりと聞き取れて、次第に会話が出来る
ようになったと言います。やがて一万本のギターを売ることが出来て、
アメリカに足掛かりが築けたのです。
この時の老夫妻の温かい人情は、決して忘れることのできない恩義として自身に
刻まれたのです。そしてこのことは経営哲学にもなり、社員を思いやる風土の
経営につながったのでした。世は捨てたものじゃないということ、真剣であれば
6か月で英語が話せるようになる。記憶に残る講演です。