2022/05/29劣化させるもの
木造住宅は今でも高い支持に支えられて、戸建て住宅では9割以上の方がこの工法での家造り
を選んでいます。(H30年、総務省土地統計調査より)その中に外国から導入された
2×4工法も木造の括りになりますので、その点は覚えておきたいところです。
木造ですから木を使い、建てられた家であることは当然です。家は長くもたせてこそ財産価値
が上がり、経済的な負担も少なくて済むようになるのは明らかですね。
では長く持たせるには、どんなことに気を付けて住まえばいいのでしょうか。
一般的な通念では木造住宅は腐れやすいというものがあります。またシロアリ被害がよく発生
して、気付いた時には相当の被害が起きてしまっている。ということを言う人がいます。
木造の弱点と実しやかに言われていることですが、本当にそうなのかも知りたいところです。
腐れる原因は腐朽菌という木材を劣化させる菌の存在があります。
その菌が木に取り付かない限り、木が腐るということはありません。ではその菌が繁殖する
条件とは何でしょうか。もしこの条件を排除出来れば何も心配はいらないことになります。
腐朽菌の繁殖好条件は水分(湿度)、温度、酸素、栄養の4つで、どれか一つでも欠けると
生存出来ません。
今木造住宅の施工品質は格段に良くなり、かつてのような雨漏れや床下の湿気は、ほとんど
心配しなくてもいいようになりました。腐朽菌のもっとも好む水分を遮断することで、木が
腐るということはなくなりました。またシロアリは腐朽菌と同じような条件で繁殖します
ので、対策は同じことに気を付ければいいのです。
それから製品や材料の長期の対候性や劣化の状態を知るために行われるのが「暴露試験」
というものです。
外の土に少し埋めた状態で木片を何年か晒し、その経年による変化を見る試験です。
その試験は人工乾燥材と自然乾燥材の両方を試験体としたのです。
その結果は皆さんも予想出来るのではと思いますが、人工乾燥された木片は2年位で朽ち
始め、シロアリ被害にも合う羽目になったのです。
人工乾燥材はその過程で、木の持つ油分やエキス分が飛んでしまい、細胞を破壊されて
いることが大きな原因です。木の姿はしていますが、ミイラとなった木と言えます。
このことは屋久島の杉の木が雄弁に物語っていますね。屋久杉は油分が多くて、土埋木の
状態で長いこと晒されても一向に腐ることはありません。
生きた木を使う大切さを、もっともっと多くの人に知ってもらいたいですね。