2021/10/28一気呵成3
工程表では無事に終わるようになっています。
しかし元々詰め込んだ工程表です。同時に何棟もスタートして進めるには限界があり、
予定通り行かないのはある意味で当然といえました。要は型枠大工と鉄筋工のローテ
ーションで躯体工事(各階のコンクリート工事)が順調にいくかどうかにかかっています。
所長と副所長の岩倉さんは、クリティカルパスという日にちを無駄にしない工程表を練り上
げて、いかに日数を詰めて躯体が上がるかに腐心しています。
型枠大工は、山川さんという大隅出身の棒心(親方の事)で、大柄な体とそれに似合う大
きな声で話す方です。1週間毎に各階が上がって行く工程が組まれましたが、通常は
10日から2週間は必要な作業量です。躯体が上がっていく上で先ず押さえるべきは、
生コンクリートの打設日を決定することです。
これが決まると生コン車、生コン圧送車、土工、左官、鉄筋工、電気工、配管工は後に
続くことが出来ます。それから事情があっても生コン打設日はうちだけの都合で変更は
できません。なぜなら前後は他社の打設日が既に決定していて、変更すると次はいつ打設
出来るかも分からなくなるからです。
まだ雨天による中止の方が気が楽です。堂々と公休扱いにできますからね。
ともあれ最終階だったと記憶しますが、打設日は決まったものの型枠大工の進捗が思った
ように進みません。今迄無理をしてきたからか、明らかにスローダウンした進み方に
なってきました。それでも先ほどの理由から打設日は変えることは出来ません。
私たち社員もハンマーを振る事はさすがにしませんが、レベルや墨だしの作業は協力して
やるようにしたのです。思ったように行かないと、型枠大工も徐々に殺気立った雰囲気が
漂いはじめ、緊張感と切迫感は募っていきましたね。
そんな時です、山川さんが若い大工を張り倒したのです。お前がやっせんからとか何とか
言って、声まで鹿児島弁になって怒鳴っています。殴られた若い大工の動作が気になります。
手にしたハンマーと道具袋を放って、悪態の一つでもついて帰るかと思いましたね。
しかし文句の一つも言わずに作業に戻るのでした。さて今日は長くなりました、また続きは
お話ししたいと思います。